二流の愉しみ

美しく気品あふれるシルバーペルシャとの優雅には程遠い同居生活

2013年02月

白隠展@Bunkamuraザ・ミュージアム

会期ギリギリになって、渋谷の東急文化村へ行きました。
白隠禅師の史上初の本格的な展覧会。

とにかく、愉しかった!

30代の頃は、几帳面で神経質な書や画なのに、
年を重ねるごとに、どんどん伸びやかになっていくのです。
字も絵もはみ出しそうな勢い。
見ているこちらも、わくわくした気分になってきて。

白隠は、「自画自賛」です。
自分で描いた絵に、自分で賛も書く。
普通は、他人に賛を書いてもらうのですね。

いい年のオトナですが、自画自賛の本来の意味、初めて知りました。
大人になればなるほど、自分が如何にモノを識らないかを知るばかり。。。

先日は、仙台が宮城県であると知らず、上司に言われました。
「小学校で習っただろ!」

そう、義務教育で基本的なことを学んだはずなんです。
自分の無知さにビックリです。。。(ボスもしょっちゅう驚いてるけど)


そーいえば、どこかで見たなーという作品もあったのですが、
早稲田大学の會津八一記念博物館です。
こちらの所蔵品に「すたすた坊主」というのがあるのですが、
これがとってもかわいい。

その上、賛が面白い。

布袋どらをぶち、すたすた坊主(に)なるところ
(ただのすたすた坊主ではなくて、布袋さんが道楽が過ぎて
 財産を食いつぶし、すたすた坊主になったところ)

来た来た又きたきた、いつも参らぬ、さひさひ参らぬ、すたすた坊主、
夕べも三百はりこんだ、それからはだかの代参り、旦那の御祈祷、
それ御きとう、ねぎの御きとう、猶御きとう、一銭文御きとう、
なあ御きとう、かみさま御きとう、よひ御きとう

リズムがよくって、愉しいでしょ。
また、會津八一記念博物館に観に行かなくちゃ。

金峯山寺による「修験道のこと、全て教えます講座」第2回@まほろば館

今年1年、毎月行われる修験道講座の2回目に行ってきました。
残念ながら1回目はあっという間に満員になってしまって、参加できなかったのです。

第2回の本日は、金峯山寺執行・五條良知師による
「誰でも唱えられるようになる読経のお話し①」。

お経について講義を受け、みんなでお経を読誦しました。
般若心経だけは大学の講義で知っていたのですけど、
修験道では一部、リズムが違うのですね。

山伏さんもいらしてくださって、間近で山伏装束を見ることができ、
法螺貝の音色も聴けて、貴重な経験でした。

明治時代の神仏分離令が、廃仏毀釈という仏教弾圧に繋がりましたが、
奈良では仏教弾圧にはならなかったのだそうです。
しかし全国的にはそうはいかず、とりわけ混淆宗教である
修験道は被害が大きく、関東での修験は大きな打撃を受けました。

そういうわけで、東京で生まれ育った私は山伏さんを見たことがなくて。
修験道を知ったのも、数年前のことですし。

不勉強であまり詳しいことは知らないのですが、修験道は現代人の
精神性にとてもマッチする信仰なのではないかという気がしています。
この講座に合わせて、修験道について勉強したいと思います。

「アンナ・カレーニナ」@ル テアトル銀座

0208

再々演で、かつファイナル公演となるアンナ・カレーニナ。

2006年の初演を観ているのだけど、まるで違って見えました。
演出も違っているけれど、何より観る私が変わってしまったのだろうなー。

何が変わったかというと、アンナに全く共感できないところ。
初演もアンナに共感はしなかったけど、それでも気の毒に思えたのだけど。。。

 年の離れた夫を持つアンナは、美しく貞淑な妻。
 ところが、青年将校ヴロンスキーと恋に落ち、新しい命を身ごもる。
 二人は駆け落ちし、アンナは娘を産むのだが
 息子セリョージャを手放したことで精神を病んだアンナは
 列車の前に身を投げてしまう。。。

アンナになぜ共感できないかと言えば、
手に入れたものを大事にしないで、
代わりに手からこぼれ落ちてしまったものを嘆き悲しむところ。

反対に、共感してしまったのが、山路カレーニンとキティ。
特にキティは、初演の時はよくわからないキャラクターだったのだけど、
遠野あすかちゃんのキティで、こんなに可愛い人だったのねと、理解できた。

なぜ今回ファイナルなのか、一路さんの希望なのかと思ったら
どうやら制作側の意向らしい。音楽の魅力に溢れた作品だけど、
一路さんはアンナ役にはオトナ過ぎるし、
だからと言ってアンナをやれる人はそういないだろうから仕方ないのかも。
相当な歌唱力が要求されるし、気高い雰囲気も必要。

劇場の、ル テアトル銀座も5月で終了。
よい劇場だったので、本当に残念。

かつて銀座セゾン劇場という名だった時に、
蜷川さん演出で真田ハムレット(1995年)を観たのを思い出します。

その後、シアターコクーンで藤原君のハムレット(2003年)も観たけれど、
藤原ハムレットはなんだかミョーに落ち着いていて、おもしろくなかった。
と言っても21歳だったのですけどね。

一方、真田ハムレットは当時35歳くらいだったけど、
疾走感にあふれていて、矛盾に満ちた言動、
悩み苦しむ青年ハムレットは絶品でした。
ガートルードの三田和代さんも凄かった。

この劇場に足を運ぶ度に、あのハムレットを思い出していました。



製作:東宝芸能
演出:鈴木裕美
原作:レフ・トルストイ
脚本・作詞:ピーター・ケロッグ
音楽:ダン・レヴィーン
翻訳:小池修一郎
出演:一路真輝/伊礼彼方/葛山信吾/遠野あすか/春風ひとみ/井之上隆志/山路和弘

二度見ちゃった『裏切りのサーカス』


1970年代、東西冷戦下のロンドン。
英国諜報機関(通称サーカス)を引責辞任したスマイリーに、
最高幹部にいるモグラ(二重スパイ)を探しだす特命が下る。。。

無題

回転の遅い私の頭では、一度観ただけでは理解できんのでした。
というわけで、『アルゴ』挟んで、もう一度。

スマイリーのゲイリー・オールドマンがあまりにもカッコよくて、
二度目も全く飽きずに観られましたよ。
いつから、こんな素敵な紳士になっていたのでしょうか。。。

一度目では、同性愛の関係がひと組分しかちゃんと理解できず。
だって、そーゆー関係が複数も出てくるとは思わないから。
ようやく二度目で関係が整理できて、理解した。

おおかたの疑問は解消されたのだけど、2回目を見終えたら
また別の疑問が。。。と言ってもどーでもよい疑問ですが。

その1
なぜスマイリーは、池だか湖だか(しかも汚い)での寒中水泳を日課にしているのか?
革の手袋して、コート着ているので、間違いなく寒い季節のはず。

ボスが、この時代のちょっと後に駐在していたので質問してみたら、
「そもそも、英国では水泳の習慣がなかったんだよ」だって。

全然答えになってないし、なんだか嘘っぽいし。
調べてみたら、スポーツとして水泳を始めたのは英国らしい。

寒中水泳を描くことで、スマイリーのタフさ、ストイックさを
表していると考えるのが自然なのでしょうか?
でも、スマイリーだけでなく他にも泳いでいる紳士たちがいるんですよね。
当時の、紳士の嗜み??
もぐらが誰か?という話の筋には関係ないのだけど、ちょっと気になるのです。

その2
スマイリーの唯一の弱点は、浮気性の妻。
ここが納得いかない。
最後にサーカスに返り咲くスマイリーは、相当に冷徹な頭脳の持ち主。
こういうタイプの男は、女を見限るのも早いのに。
なぜ、妻に固執する?
何事も例外はあるからそうなのだとしても、やっぱり釈然としないのです。

こうやって書いていたら、また別の考えが。。。

最後にモグラが誰だか明らかになるのですが、
確かに彼は二重スパイでした。

でも、モグラはまだサーカスにいるのでは?
モグラが一人とは限らないし。
なんて。まさかね。。。考えすぎ?

  一度目、あなたを欺く。
  二度目、真実が見える。


ということだけど、見えたと思った真実がなんだか疑わしく感じられてきた。
二度観て分かったような気になったけど、
私の頭だと、ちりばめられた暗示を理解しきれていなさそう。
もう一度、観なくっちゃ。


出演: ゲイリー・オールドマン
    コリン・ファース
    トム・ハーディ
    トビー・ジョーンズ
    マーク・ストロング
    ベネディクト・カンバーバッチ
    キアラン・ハインズ
    キャシー・バーグ
    ジョン・ハート
監督: トーマス・アルフレッドソン
2011年 UK/フランス/ドイツ  128分

『アルゴ』と『裏切りのサーカス』@新・文芸坐


久々に映画館で映画観ました。しかも、2本立て。

『裏切りのサーカス』が気になっていたのだけど、
秋学期最後のレポートでイランを取り上げたので
『アルゴ』は私にとってタイムリー。

まずは、『アルゴ』から。
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これは、1979年にイランで起きたアメリカ大使館占拠事件を扱ったドラマ。

この映画がアカデミー賞を受賞し、イランが激怒していると伝えるニュースを
目にしました。核問題等でさらに対立を深めるイランとアメリカですが、
米ソ冷戦時代には、イランは中東随一の親米国家だったのです。

アメリカにとってイランは、反ソ防衛拠点として重要な存在であり、
当時のパフラヴィー朝のシャー(国王・皇帝)は経済危機や反勢力弾圧のために
アメリカの支援を必要とした。両者は今では考えられない蜜月関係にありました。

そして、1979年にイラン・イスラーム革命が起こるのですが、
革命で倒されたシャー政権の独裁体制や強大な軍事力は
アメリカによって維持されていたために、圧迫された民衆の
憎悪は、当然アメリカにも向けられることとなる。

国外に逃げたシャー・パーレビ(パーレビ国王)は、米国へ亡命する。
パーレビの引き渡しを要求に人が押し寄せ、アメリカ大使館占拠事件が起こる。

アメリカの救出作戦はことごとく失敗し、人質が解放されるまで444日もかかった。
アメリカのメンツは、丸つぶれ。
こうしてアメリカもまた、イランを憎悪するようになったのです。

アメリカにすれば国際法を無視したこのやり方は到底許せるものではなく。
一方のイランにすれば、西欧が勝手に作ったルールに何故従わなくてはならないのか。
そのルールに異議申し立てするのは当然のこと。

イラン革命を発端に、イスラエル問題も深く絡み、
現在のこじれた関係に至るのですね。

前置きが長くなりましたがこのアルゴは、アメリカ大使館から
脱出してカナダ大使館邸宅に逃げ込んだ6名を、
CIAのトニー・メンデス(ベン・アフレック)が救出する、という実話がベース。

実際は、映画とは異なっているところが多いそうで。
クライマックスの空港のシーンはフィクションだそうですし、
作戦直前になって米国からストップがかかる点もフィクション。
ですが、史実そのままである必要はないし、
映画化には少なからず脚色が必要でしょう。
事実を描いたからといって、真実を伝えられるとは限らない。

イランとか、人質事件とか、実話ベースとか、そういうのは置いておいて観ると、
完成度の高い、よく出来た娯楽作でした。

でも、観終わったときには何かこう、もやもやとしたものが。。。

冒頭で、なぜアメリカ大使館が占拠されるような事態になったのか、
アメリカがそれまで、イランにどのようなことをしてきたのか、
分かりやすく簡潔に説明しています。
アメリカの「正義」を振りかざすような、いやらしい映画ではないのです。

ですが、やっぱりモヤモヤするのです。

それは、よく出来た作品であるがゆえに、観客がこれを
事実と受け取ってしまうであろうということ。

というか、日本の予告編冒頭で「これは、実話です」と言ってしまっています。

外国ではどうなっているのか知りませんが、
日本では、これが「実話」であるということの衝撃を売りにしているのです。
かえって、作品を安っぽく見せるだけだと思うのですが。。。



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